【不正確】「マクドナルドとアマゾンジャパンの社長は中国人」は誤り。両社トップの経歴を検証。

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経済
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SNSで「日本マクドナルドもアマゾンジャパンも、社長は中国人」という言説が拡散していますが、これは「不正確」です。日本マクドナルドの経営トップ(持株会社CEO)は2025年3月に交代し、アメリカ人です。また、アマゾンジャパンの経営トップの一人であるジャスパー・チャン氏はカナダ国籍であり、「中国人」ではありません。この投稿は複数の誤情報に基づいています。

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検証対象

2025年8月頃から、X(旧Twitter)などで、「日本マクドナルドもアマゾンジャパンも、悔しいけど、社長は中国人。でもだからこそ、日本人がもっと前に出て、日本の主役は日本人だって証明しようよ。」といった内容の投稿が拡散しました。この投稿は、著名な企業のトップが中国籍であるという情報を基に、危機感や対抗意識を訴えかけるものです。

結論:不正確

この投稿の根幹をなす「両社の社長は中国人である」という主張は、複数の点で事実と異なります。

  • 日本マクドナルドホールディングス(持株会社)の代表取締役社長兼CEOは、2025年3月に就任したトーマス・コウ氏であり、アメリカ人です。
  • アマゾンジャパン合同会社の経営トップの一人であるジャスパー・チャン氏は、香港出身のカナダ国籍です。中国籍ではありません。

したがって、「社長は中国人」という主張は、両社ともに明確な誤りです。

検証の詳細

1. 日本マクドナルドの経営体制について

日本マクドナルドは、親会社である「日本マクドナルドホールディングス株式会社」と、事業会社「日本マクドナルド株式会社」で経営体制が分かれています。

2025年2月6日に発表された人事に-より、親会社である日本マクドナルドホールディングス株式会社の代表取締役社長兼CEOには、2025年3月25日付でトーマス・コウ氏が就任しました。同氏はアメリカ国籍です。前任の日色 保氏は同職を退任しました。

結論として、現在の日本マクドナルドの経営トップ(ホールディングスCEO)はアメリカ人であり、「中国人」という主張は完全に誤りです。

ソース
流通ニュース「日本マクドナルドHD/トーマス・コウ取締役が社長兼CEOに昇格」

日本マクドナルドHD/トーマス・コウ取締役が社長兼CEOに昇格
日本マクドナルドホールディングスは3月25日付で、トーマス・コウ取締役が、代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)に就任する。 <トーマス・コウ氏> 日色保 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)は

2. アマゾンジャパンの社長について

アマゾンジャパンの経営トップの一人として知られるのは、ジャスパー・チャン氏ですが、彼の国籍は中国ではなくカナダです。チャン氏は法人としての「アマゾンジャパン合同会社」の職務執行者を務めており、経営の最上位に位置しています。

一方で、日本の一般消費者向け事業の責任者(カントリーマネージャー)は、日本人の沼本 憲孝氏が務めています。どちらの人物を指すにしても、「中国人社長」という主張は事実に反します。

ソース
公正取引委員会 報道発表資料(令和2年9月10日)

(令和2年9月10日)アマゾンジャパン合同会社から申請があった確約計画の認定について | 公正取引委員会

判定に至った理由

以上の最終検証から、「日本マクドナルドとアマゾンジャパンの社長は中国人である」という投稿の主張は、以下の点で明確に誤っています。

  1. 日本マクドナルドのCEOはアメリカ人であり、主張は完全に誤りです。
  2. アマゾンジャパンの経営トップの一人であるジャスパー・チャン氏は、カナダ国籍であり、中国籍ではありません。したがって、こちらも主張は誤りです。

投稿は、両社について事実と異なる情報に基づいており、「不正確」であると結論付けます。

FACTCHECK Scienceのコメント

企業の経営者の国籍に関する情報は、時に人々のナショナリズムや排外主義的な感情を刺激するために利用されることがあります。今回の事例のように、複数の企業の経営者情報が、国籍や役職、さらには人物そのものまで誤った形で結びつけられ、事実無根の情報として拡散することがあります。

特にグローバル企業の複雑な経営体制は、外部から見て分かりにくいことがあり、それが誤解や憶測の温床となることもあります。情報に接した際は、それが最新かつ正確な事実であるかを、信頼できる情報源で確認する冷静な姿勢が重要です。

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